はやぶさのカプセルが呉に

 あの「はやぶさ」のカプセルが、なんと呉にやってくるそうです。模型ではなく、宇宙から帰ってきた本物が・・・!

帰ってきた「はやぶさ

 今年の6月に、7年間・60億kmにも及ぶ宇宙飛行を終えて地球に帰還した「はやぶさ」。最後のミッションであった「カプセルの投下」まで成功させて燃え尽きた姿に、感動を覚えた方も多かったのではないでしょうか。「カガクのじかん」でも3回に分けて記事を書かせて頂きました。

 もちろん、「はやぶさ」は「工学実験探査機」であり、科学的使命を与えて飛行させた機械に過ぎない・・・などといった観点から、「はやぶさ君」など過度の擬人化に対する批判の声もありました(そもそも燃え尽きなかったらどこかに墜落するわけで、その方が危ないです)。

 まして、次の宇宙探査計画をどうするかといった将来計画の議論の場で、科学的意義と感傷を混同してよいはずもありません。いや、議論する先生方は混同しないでしょうが、「国民の声」という形で私たちの姿勢は議論の場に届いてしまうでしょう。

 宇宙はあまりに広く、地球は小さいです。その小さな地球に住む私たちが、限られたリソースをどこの探査に振り向けるべきか、考えを持つのは無駄ではないと思います。

呉で展示されるなんて

 と、思わずカタイ話を書いてしまいましたが、「おかえり」フィーバーから一段落した今だからこそ、「はやぶさ」のカプセルを見ながら、そんなことを落ち着いて考えてみるのもよいのではないでしょうか。大体、まだカプセルの中身は調査中ですしね。

 今回の展示にあたっては、JAXAが「展示協力機関」を全国から公募していました。先月末ぐらいに機関の選定がなされたようですね。選考基準には

選考にあたっては、地域や都道府県のバランス、展示施設の立地・種類・規模、交通の便等、諸々の要素を総合的に考慮させていただきます。

とあります。中国新聞の記事によりますと、

全国16カ所の巡回展示の最初で、中国地方では唯一となる。

だそうです。何と希有なことでしょう。呉に住んでてよかった。落ち着いている文体を装っていますが、とても興奮していますし、とても喜んでいます。

 展示施設は「大和ミュージアム」です。こちらの情報によりますと、展示期間は

平成22年11月20日(土)〜23日(火・祝)
午前9時〜午後6時

です。実は今日、当ブログ管理人は「大和ミュージアム」まで行きまして、リーフレットをもらって帰りました。そこには「展示公募全国初の特別公開」という文字が誇らしげに躍っています。裏面には展示物の予告が写真付きで。

とのことです。うんっ?JAXA公募ページによると、ヒートシールド(前面・背面)は「貸与対象外」となっていますが、もしや事情がかわったのでしょうか?あるいはリーフレット裏面の写真は、展示物の予告ではなくて、単に「はやぶさ」のパーツの紹介なのでしょうか(そうとも受け取れるような書き方です)。


 まあ、行ってみれば分かりますよね。楽しみです。

呉へのアクセス(陸から)

 JAXAの選考基準にもあったように、地域のバランスや交通の便も考えて、呉市が選定されています。こちらの情報によりますと、中国地方は呉だけ、九州は佐賀、四国は徳島、といった布陣になっています。ですから、ぜひ遠くの方にも足を運んで頂きたいです。

 と、いうわけで、近県の皆様。呉市大和ミュージアムはこんなところにあります。風光明媚な瀬戸内海と、多島美を一望する絶好のロケーションです。ちょっと言い過ぎかもしれませんが。


大きな地図で見る


 駐車場もありますが、JR沿線の方はJRで呉駅まで来られる方が楽じゃないですかね?JR呉線から眺める瀬戸内海はなかなかおつなものです。電車の本数はあまり多くありませんけども(参考:呉駅時刻表【下り】【上り】)。

 呉駅から大和ミュージアムまでは徒歩5分ぐらいです。改札を出て右に曲がれば、大和ミュージアムまで直通の歩道橋があります。

 もし、展示を見終えてもう少し観光でも・・・という方は、大和ミュージアムレンタサイクルの貸し出しもしているようですし、観光バスも運行されています。

 日暮れ時には、沈む夕日も見ることができますよ。


(今日撮影したものです)

呉へのアクセス(海から)

 意外とあなどれないのが、海からのアクセスです。何しろ大和ミュージアムは呉港のすぐ隣、徒歩1分以下という立地ですから。

 ですから、江田島市の方はもちろんのこと、広島市在住の方でも、南区などの港が近い方は、呉港までのフェリーを利用してみられるのも楽しいかもしれません。そしてもちろん、愛媛県の皆様。松山観光港からスーパージェットなら55分という近さです。ぶらりと呉に立ち寄ってみられませんか?

 船の時刻表はここにあるようです。

考える機会に

 宇宙を7年間も飛行し、戻ってきたものを見るというのは、なかなかできない体験ですよね。いろいろなことを考える機会にしたいと思います。

文中、観光案内のような箇所がありますが、これは当ブログ管理人が一市民として感じていることであり、所属機関の意見や利害関係を代表するものではないことをお断りいたします。

【追記 11/16】

 はやぶさのカプセルから採集された1500個の微粒子が地球外物質で、イトカワ由来であることを確認、とJAXAから発表がありました。

 プレスリリースの下の方に、微粒子をイトカワ由来と判断する根拠が書かれています。なかなか明快な論理です。

  • 地球上の岩石と1500個の微粒子とは組成が違う。
  • はやぶさ」が観測したイトカワの表面データと1500個の微粒子の組成は整合する。
  • はやぶさ」のカプセル内からは、地球上の一般的な火成岩の破片が見つかっていない。

とのことです。

 カプセルにサンプルをためておく場所はA室とB室の2つあるそうで、今回はA室から得られた結果だそうです。またB室から新たな結果が得られるかもしれませんねぇ。




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